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【SDGs CHALLENGE】外国人が「日本を知り、日本を好きに、自分らしく生きる」社会の実現に向けて、日本語教育のデジタル化を目指すSUN

<インタビューイー略歴>
SUN株式会社
代表取締役兼CEO 仲宗根 俊平 氏


<略歴>
1983年4月、大分県日田市生まれ。親の転勤に伴いアメリカに移住し、カリフォルニア州とニュージャージー州で幼少期を過ごす。帝京大学文学部を2006年に卒業後、保険業と広告業の営業を経験、2012年にIT業界に転職。業績が認められ入社から4年で取締役に就任する。2018年にSUN株式会社を設立。ITを軸として世界に社会貢献をすることを目標に掲げ、現在は在留外国人支援事業の推進に励む。

2021年より、世界規模のSDGs課題解決に挑むスタートアップの事業開発・海外展開を支援し、兵庫県・神戸市からグローバルな社会変革を生み出すシステム・プロダクトを創造することを目指し、グローバルなSDGs課題解決を目指す共創プログラム「SDGs CHALLENGE」が誕生しました。本プログラムに採択されたスタートアップを紹介していきます。

<サービス紹介>

会話から日本語の文法や表現、単語、発音などを学ぶ、ストーリーベースの日本語学習アプリ「くらしスタディ」を提供。全96シーンの物語から、日本の暮らしに必要な生活ルール・行政ルールを学ぶことができ、学校に行かずとも「読む・聞く・話す」スキルを伸ばすことができる。


世界の人とつながる社会の実現へ、母国語支援の課題を解決したい

起業するまでの経緯ときっかけを教えてください。

仲宗根氏(以下、仲宗根):私は幼少期をアメリカで過ごしました。外国の方と日常的に接する機会があったことや、日本にはない価値観、文化に刺激を受けたことで「世界の人とつながりたい」「世界を舞台にビジネスをしたい」という思いから起業しました。世界の人々とビジネスをきっかけに繋がり、新しい価値を生み出そう、その思いを達成するために、まずはグローバルな職場を作ることが必要だと思い、会社設立から3か月後には自らバングラデシュに飛び、現地で採用活動を開始しました。

御社は2022年1月にバングラデシュに初の海外支社を開設されておられますよね、なぜバングラデシュだったのでしょうか

仲宗根:バングラデシュに決めた理由は3つあります。1つ目は、日本ではIT人材不足の課題に直面している中、バングラデシュは人口が1.6億人と増加傾向にあり、かつ経済成長が著しく、大学卒の学歴を持つ優秀な人材も多くいます。一方で、給与や雇用が不安定であり就業機会が少ないという課題に直面していたことから、バングラデシュでのIT人材採用を通じて日本のIT人材不足の課題を解決できるのではないかと思いました。2つ目はバングラデシュがブルーオーシャンだからです。日系企業がインドやベトナムに進出するなか、バングラデシュであれば我々のようなスタートアップでもビジネス展開できるのではないかと考えました。3つ目は英語が話せる人材が多くいたこともバングラデシュを選んだ理由ですね。

日本語学習アプリ「くらしスタディ」を着想されたきっかけを教えてください

仲宗根:海外展開を行う一方で、起業のきっかけにもなっている「世界の人とつながりたい」という思いは、国内でも完結できるということに気づきました。なぜなら、日本国内には数多くの外国人が就労に来ており、国内で海外との繋がりを持つことができるからです。そこで、日本に就労する外国人に焦点を当て、彼らの課題がどこにあるのかを調査しました。すると、日本はアメリカやドイツ、中国などの他の国々と比べて外国人に対する母国語支援が十分ではなく、教師の数も足りていない、アナログな方法での実施など課題がたくさんあることがわかりました。一方で、日本のビジネス現場では求められる日本語スキルは高く、文法が少しおかしいと気になる、細かい部分で一歩引いた目で見てしまうということがまだあり、日本語に対するカルチャーも大きな課題であると感じています。国としても日本語教育は文化庁が主体となって推進しており、ここ数年で前向きな動きは見えているものの、日本語教育に割り振られる予算では到底他の先進国のレベルに達することはできず、推進スピードも緩やかなのでそれならもう自分でやろうと決意しました。
日本国内で生産人口が減少する中で、外国人材の受け入れを促進しようと打ち出しているにもかかわらず、日本人として十分な支援ができていないことを私自身も恥ずかしく感じ、IT企業としてなにかできることはないかと思ったことが「くらしスタディ」をはじめるきっかけです。

-今後社会に対してどのような価値を提供していきたいと考えていますか。

仲宗根:弊社のサービスを通じて外国人が日本に長期的に住める社会を目指したいと思っています。日本の労働人口が減少する中で、技能実習生、特定技能ビザを使った就労を目的とした来日が圧倒的に増えているにもかかわらず、ビザの更新は難易度が高く、日本に在留したいと希望していても母国に帰る方が多いのが現状です。そういう方々が長期的に日本に滞在でき、労働者ではなく「生活者」として日本に住める環境を整えていきたいですね。


SDGsチャレンジ参加で海外展開へ弾みを。

-SDGsチャレンジにご参加を決めた理由を教えてください。

仲宗根:我々のサービスはSDGs4「質の高い教育をみんなに」に貢献できるものであり、世界に日本語教育のICT化を進めていきたいと思っていたところ、このSDGsチャレンジを知りました。参加することで海外展開への機会を得て、積極的に行動できると思ったことや、自治体が実施するプログラムということで、自治体との連携強化、認知向上に期待ができると感じたことも参加を決めた理由ですね。

-実際に参加されてみて、いかがですか?

仲宗根:1月下旬から40日間をかけて、アメリカや欧州、南アジアなど10か国以上の国々の日本語学校などの訪問を行うことが決まりました。3月のデモデイ(3月18日に開催予定のSDGs Day)では、海外展開で得た観点や経験を発表するので、今からワクワクしています。さらに感じたのは、同じく参加している起業家たちからの刺激ですね。私にはない知見を持ち、実際に行動に移した方々が多く参加しているので、リアルな情勢や新しい視点を得ることができとても良いプロジェクトに参加したなと感じています。