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次世代の高度人材と市内企業の融合 「Kobe x Engineer’s Lab」が取り組むエンジニアインターン

LRM株式会社のメンバー

テクノロジーの急速な普及により、多くのことがITによって完結してしまう現代社会。世の中の変化に対応していくために企業は事業運営における「DX化」を迫られるようになりました。またこの流れは個人へも影響を及ぼしており、今まで必要とされていたスキルだけではなく、新たなスキルの習得を促す「リスキリング」の必要性も高まっています。

日進月歩で進むテクノロジーの進化に対応していけるよう、神戸市は次世代の高度人材の創出を目指し、「Kobe x Engineer’s Lab」を立ち上げ、3つの取り組みを行っております。その活動の一つである「企業インターンのマッチング支援」のニーズが高まりつつあります。企業と個人の双方にとってメリットのあるこの取り組み、実際に参加した企業とインターン生がどのように融合しているのか、伺いました。

 

<インタビューイー>
神戸市 統括イノベーション専門官 エンジニア創出事業担当
中沢 久

GAOGAOゲート(事業運営者)
代表取締役 鈴木 正直氏

LRM株式会社
取締役 CTO 坪井 暁人氏
セキュリオ部/Biz チームプロダクトマネージャー 村田 優二氏

インターン生
永山さん

神戸市がエンジニアコミュニティを作った理由

<Speaker:神戸市 中沢 GAOGAOゲート 鈴木氏>

エンジニアラボを立ち上げた経緯とは

神戸市 中沢

経済産業省より公開されている情報では、2030年に最大約79万人のエンジニアが不足するという推計が出ています。また我々が日々スタートアップの支援を行っている中で、スタートアップが抱える課題として、「人材採用」が挙げられています。今後の世の中と現在発生している課題を合わせた時に、神戸という土地にいつでも人材獲得ができる環境を整えるべきだと思い、行政として取り組むことを決めました。

エンジニアラボの立ち上げ参画を決めた理由

GAOGAOゲート 鈴木氏

元々東南アジアにて教育事業を立ち上げていたのですが、コロナウィルスの影響により、現地での事業継続が難しくなってしまいました。事業立ち上げたことで当社にはノウハウを含めたアセットが多数ありましたので、これらを活用できる場所を探していたところ、神戸市にて我々の事業と親和性の高い本事業の公募が開始されたため、応募をさせていただきました。

我々が事業を行っていた時に感じていた課題として、学習関連の事業を行う事業者はたくさんあるものの、特定の個人にしかリーチできていないという現実があります。「学び」は偏りなく全ての人に提供できるものであり、行政と一緒に取り組むことによって我々が感じていた課題が解決され、広く価値を届けていきたいと思っています。

神戸市中沢とGAOGAOゲート鈴木氏

 

 


「未経験インターン」だからこそ良い影響を与えてくれる

<Speaker:LRM株式会社 坪井氏 村田氏>

-インターンの受け入れを決めた理由を教えてください

村田氏:受け入れを決めた理由としては、2つあります。一つは、弊社が現在事業拡大のフェーズに入っており、新たな人材を採用することで組織も事業もより大きく成長させたいという想いがありました。もう一つは、弊社は本社が神戸にあるのですが、地域での地盤を固めていくためにも、地元から継続的に採用していくための仕組みが必要だと感じていました。そこでインターンに参加してもらうことで、弊社事業の成長をさらに加速していただきたいと思いました。インターンの事業参加は、「働く」とはどういうものなのかを学んでいただける機会になると思いますし、弊社に興味を持っていただき、就職時の選択肢になることができれば、お互いに良い仕組みとなると思っています。

世の中には様々な採用チャネルがあるにも関わらず、インターンに力を入れたのはなぜでしょう

坪井氏:もちろん、インターン以外の採用ツールを使うこともあります。ただ、採用ツールには大企業・メガベンチャーなども含めて幅広い企業が求人広告を掲載しているため、自社に適した人材と出会うのは簡単ではありません。インターンであれば、求人広告だけでのコミュニケーションでは伝えきれない部分も伝えることができるため、非常に有効な手段だと思っています。

 

村田氏;私たちは毎年新卒採用を行っており、文系出身者のエンジニアが多数在籍しています。その成果として「未経験でも一人前のエンジニアになれる育成メソッド」がある程度確立できていますので、弊社では経験を問わずインターンを受け入れることができています。

 

坪井氏:ベンチャー・スタートアップ企業において未経験でも採用ができる会社は少なく、弊社の強みとして認識しています。経験の有無よりも常に学び成長していく意欲や目の前のユーザーのために動けることが重要であり、技術は我々が教えていけば良いと思っています。

LRM株式会社 取締役 坪井氏

⁻インターンを受け入れたことでの良い影響はあったのでしょうか

坪井氏:デジタル領域は常に進化しています。そのような市場においてはむしろデジタルネイティブである若い人材の方が良いアイデアを持っている可能性が非常に高く、技術面だけでない部分で会社に貢献してくれると思っています。アメリカのスタートアップでも研究から始まったサービスが多く存在しています。「こういうサービスだと面白いのではないか」「こんなことができると良いよね」という自由な発想から生まれたものが大きな価値へと変わっているので、仕事としてエンジニアリングをしたことがない人材は弊社にとって貴重な存在です。

 

村田氏:人材採用は、組織に対して新たな価値観を提供してくれると思っています。経験値の有無に関わらず若い人材から学びを得ることは、常識が変わっていく世の中においては必要ではないでしょうか。また、誰かに何かを教えるという経験は、自己成長において非常に重要です。自分がやっていることを言語化することは、再現性を持たせられるようになりますし、チームで活動する上で的確な指示を出せることにも繋がります。エンジニアリングの本質は、コードを書くことではなく、「課題を解決するためにどのようにテクノロジーを駆使するのか」を考え、実行することだと考えています。インターンの受け入れがエンジニアとしてのコアコンピタンスを磨くことにも繋がっているのは、既存社員にも非常に良い影響を与えています。

LRM株式会社 村田氏

ラボとインターンが目標達成の手助けになる

<Speaker:インターン生 永山さん>

⁻なぜエンジニアラボへ参加されたのでしょうか

永山さん:私自身、将来はエンジニアなりたいと思っていて、ずっと独学で勉強していたのですが、一人で学ぶことの限界を感じていました。行き詰っていた時にGAOGAOの鈴木さんと出会い、色々相談させていただく中で学びをアウトプットするための場をインターンという形で提供できると教えてもらい、入会することにしました。

⁻独学で学ばれている時からインターンはしたいと思っていたのでしょうか

永山さん:大学でプログラミングをするサークルに所属しているのですが、先輩から「独学で学ぶよりも、企業に入って実際に課題解決に取り組む方が身につく」と言われたことがあり、その時にインターンをするということを自分の目標である、エンジニアになるためのスタート地点として設定していました。

⁻目標に向けてご自身で何をすべきか事前に決められていたのですね

永山さん:そうですね。実際にラボに入会しましたが、ある程度目標を持って入ると効果的に学ぶことができると思います。もちろんまだ何も考えていない人でも学ぶことはできますが、進むべき道があれば何を学べば良いのか自然と明確になるので学びやすくなると思いますね。

エンジニアラボからインターンシップへ

⁻実際にインターンに参加した感想を教えてください

永山さん:自分がこれまでやってきたことと、企業がやっていることのレベル差に驚かされました。そもそもインターンとして受け入れられる前に試験があり、クリアして参加していますが、試験と比較してもかなりレベルが違いましたね。ただ、こうしたレベルの違いを最初に感じられたことは私自身とても良いことだと思っていて、「早くみんなに追いつく」というのが大きなモチベーションとなりました。

⁻インターンをしたことでどのような学びがありましたか

永山さん:エンジニアとして技術はもちろんですが、最も良い経験になったのは社会に出て働くとはどういうことなのかを学べたことです。分からないことがあれば周りの先輩社員に質問することが出来るのですが、最初のころは学生気分のまま友達感覚で質問をすることがあり、正直先輩の邪魔をしていたと思います。質問をするにしても、何に困っているのか、何を聞きたいのか明確にしておかなければ仕事が円滑に進まず、お客様・会社に迷惑がかかってしまうということに気付けたのは大きな学びでした。


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